2013/01/26

総義歯ができるまで 〜自費レジン床総義歯作製工程〜


総義歯ができるまでにどのような工程で行われているのでしょうか

よく総義歯を作るときに聞かれるのが、初めて治療にみえて

じゃあ次回が完成ですよね?と聞かれる事

ちょっとお待ちください 総義歯はオーダーメードなので1〜2ヶ月は

かかりますとおはなししても、患者さんは納得いかないご様子

なぜ患者さんは早く作れると思っていて、歯医者側はすぐは作れないというのでしょうか

フルオーダーメードのスーツを作るとどれくらいの期間、費用がかかるのでしょうか

フルオーダーメードの靴は?

採寸、仮縫い、試適チェック、完成とそれなりに時間がかかります

総義歯も同じくフルオーダーメードなので、その方のお口にのみ使えるように

歯科医師と歯科技工士が型取りをして作るので結構時間と手間ひまがかかるんです

スーツや靴と違って既製品が何種類かあって、そのなかから選んで使ってください

というわけには入れ歯の場合はいかないんです

完全手作りのフルオーダーです

よってきちんと作ろうと思うと時間と費用がそれなりにかかります

今回、総義歯ができるまでの工程がいかに大変なのかを知って頂きたく

ブログでまとめてみる事にしました

ちょっと長くなりそうですが、分けて書いていきます


当院で行っている一般的な自費レジン床総義歯の製作工程です

(保険、金属床の場合はこれとは異なります)





第1回 型取りー1回目

総義歯の歯型を取る際、より精密に型を取る為に当院では

2回に分けて機能印象をとっています

型なんか1回でいいじゃないか と思われるかもしれません

確かに1回で作る事もできますが、それではいい入れ歯はできません

いい義歯を作ろうと思えば2回取るべきです

理由は様々な動きをする口の周りの筋肉の動きを再現する為には

ある一瞬の状態を記録するのではなく、部分部分で動きを記録しないといけない為

2回必要なのです

1回目の型取りはできるだけ粘膜を変形させないようにしつつ、

解剖学的ランドマーク
(上顎:切歯乳頭、上唇小帯、頬小帯、口蓋小窩、ハミュラーノッチ、 翼突下顎縫線)(下顎:下顎小帯、 頬小帯、舌小帯、レトロモラルパッド、マセッタグルーブ、頬棚、顎舌骨筋線)

が全て入るようにそっとアルジネート印象します




すぐに石膏を注ぎます

メーカー規定の粉液比で練り、気泡を入れないように石膏を注ぎ、湿度100%の

湿箱で硬化させます



これでお口の中が再現できました

見た目は実際のお口と全く同じように見えますが、この型取り材は微妙に変形しており

軟組織を変形させてしまっています

柔らかいものを型取るときは、もっと流れのいい変形させにくい材料でそっと

ふんわりと印象することが必要です

ただし最初から柔らかすぎるものを既成トレーで使うと、スペースがありすぎて

とれません

それで、専用の個人トレーが必要になってきます



下も同じように型を取ります

土手がなくてかなり難しい症例ですね



第2回 個人トレーへ続く






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