2013/07/20

論文紹介 8020達成者と噛み合わせに関係があるか

こんにちは さいたま市なると歯科院長の小林成人です

歯科論文を一般の方むけに分かりやすく紹介したいと思います

今回ご紹介する論文は1999年に日本歯科医師会雑誌に投稿された

東京歯科大学 茂木悦子先生の論文で

8020達成者の歯列咬合の観察ー東京都文京区歯科医師会提供の資料よりー

という表題です

日本歯科医師会では80歳で20本の歯を残しましょうという8020運動を

行っています

28本が正常なのですが20本あれば何でも咀嚼でき、健康で長生きできると

考えられているので、できるだけ歯を残せるように頑張りたいところです

歯を失う原因は大きく分けて虫歯、歯周病、破折の3タイプですが、

茂木先生は噛み合わせと歯の喪失に関係があるかどうかを調査しました

文京区に在住の80歳以上の7000人に郵送によるアンケートを行い

回答のあった3002名中8020を達成した51人を対象に噛み合わせを調査しました

そのうち

正常咬合者は56.9%
上顎前突(出っ歯さん)は17.6%
過蓋咬合(噛み合わせが深い)は25.5%
反対咬合(受け口)は0%
開咬(オープンバイト)は0%

であった
つまり反対咬合だと80歳で20本の歯を残す事はかなり難しいという結果です



これが正常咬合で前歯がしっかり上下で咬んでいます
この噛み合わせは28本しっかり咬んでいるため
上下、前後のバランスがよく
長持ちしやすい噛み合わせといえそうです
このタイプの噛み合わせのかたが56.9%8020を達成者にいました











上顎前突 出っ歯さんの例
下顎よりも上顎の方が出ているタイプの噛み合わせです
前歯は咬んでいますが角度がつきすぎているため
噛み合わせのバランスはよくありません
このタイプで8020達成者は17.6%です










過蓋咬合
上の前歯が覆い被さっているため下の前歯があまりみえません
前歯は咬んでいないため、奥歯しか咬合しておらず
噛み合わせのバランスは悪いです
このタイプで8020達成者は25.5%いました








反対咬合
前歯の噛み合わせが逆になっています
噛み合わせのバランスが著しく悪い為に奥歯から歯を喪失しやすい
タイプの噛み合わせです
今回の調査ではこのタイプの噛み合わせで8020達成者はいませんでした



開咬 オープンバイト
前歯が全く咬んでいないため奥歯でしか咬合していません
このタイプも噛み合わせのバランスが悪いため奥歯から喪失しやすい噛み合わせです
今回の調査ではこのタイプの噛み合わせで8020達成者はいませんでした



以上が、噛み合わせのタイプから8020達成患者を分析した結果です
もともと正常咬合者の割合が多く、反対咬合者が少ないので統計的に差が出やすい
という事もありますが、それでも統計処理すると有意差が有りとなります
噛み合わせに問題がある方は早めに矯正治療をした方がいいかもしれません

但し反対咬合だからといって必ず8020達成できないという事ではありません
あくまでもこの地区の統計の結果ですので、普段のお手入れを2倍がんばって
歯科医院で定期的にメンテナンスを受けて頂ければ可能かもしれません

あくまで参考程度にして頂けるといいと思います

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