第8回 総義歯ができるまで 〜自費レジン床総義歯作製工程〜
咬合器装着
顎運動、顎の動き(開け閉め:開口運動閉口運動や横に歯ぎしりする運動:左側方運動右側方運動、前に出す運動:前方運動)を再現できる装置を咬合器といいます
大きく分けて
平均値咬合器と
半調節性咬合器の2種類あります
平均値咬合器は名前の通り、人類の平均的なデータを反映した咬合器で
約80%は1DS(1標準偏差)以内に入りますので
ほとんどの方は平均値咬合器で簡略化できます
糸状顆路角は30°に固定
顎間距離は10cmです
一方、半調節性咬合器は残り20%の顎が大きい方、小さい方、顆路角が大きかったり小さかったりする方、顎位が不安定な方に使用します
フェイスボウトランスファーが必要になりますが
糸状顆路角、側方顆路角を患者固有の値に設定できる為
より精密な顎運動を再現できます
当院ではHanaw wide view 咬合器
Denar markⅡ咬合器を使用しています
ゴシックアーチトレーサーやチェックバイト法は今回は省略しますが
機会がありましたら記述します
症例により使い分けていますが、今回は特に問題がないパターンでしたので
平均値咬合器を選択しました
スイス人の偉大な補綴学者ギージー先生が開発された 平均値咬合器Gysi simplex(ギージーシンプレックス)
糸状顆路角は30°固定
顎間距離は10cm
切歯路角は0°〜30°で調節可能
名前の通りシンプルな咬合器で操作エラー(誤差)が少ない
咬合器です
フルブリッジ(全部被せもの)の作製には全く向いていませんが
総義歯作製には向いています
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上顎を仮置きして模型の基底面を咬合平面に平行にトリミングします |
それから数カ所刻みを入れてテープで覆い、分離材を薄く塗布します |
咬合器を閉じても模型とあたらない事を確認して |
寸法変化が最も少ない超硬石膏を注ぎます |
気泡を入れないようにちょうど上まで注ぎます |
注ぎ終わったら |
完全硬化まで待ち |
ひっくり返して今度は同じように下顎を装着します |
反対側も超硬石膏を注いで咬合器装着終了 |
次回 人工歯排列へ続く