2013/02/27

総義歯ができるまで 〜自費レジン床総義歯作製工程〜No8


第8回 総義歯ができるまで 〜自費レジン床総義歯作製工程〜
咬合器装着

顎運動、顎の動き(開け閉め:開口運動閉口運動や横に歯ぎしりする運動:左側方運動右側方運動、前に出す運動:前方運動)を再現できる装置を咬合器といいます
大きく分けて
平均値咬合器と
半調節性咬合器の2種類あります

平均値咬合器は名前の通り、人類の平均的なデータを反映した咬合器で
約80%は1DS(1標準偏差)以内に入りますので
ほとんどの方は平均値咬合器で簡略化できます
糸状顆路角は30°に固定
顎間距離は10cmです

一方、半調節性咬合器は残り20%の顎が大きい方、小さい方、顆路角が大きかったり小さかったりする方、顎位が不安定な方に使用します
フェイスボウトランスファーが必要になりますが
糸状顆路角、側方顆路角を患者固有の値に設定できる為
より精密な顎運動を再現できます
当院ではHanaw wide view 咬合器
Denar markⅡ咬合器を使用しています
ゴシックアーチトレーサーやチェックバイト法は今回は省略しますが
機会がありましたら記述します

症例により使い分けていますが、今回は特に問題がないパターンでしたので
平均値咬合器を選択しました

スイス人の偉大な補綴学者ギージー先生が開発された
平均値咬合器Gysi simplex(ギージーシンプレックス)
糸状顆路角は30°固定
顎間距離は10cm
切歯路角は0°〜30°で調節可能
名前の通りシンプルな咬合器で操作エラー(誤差)が少ない
咬合器です
フルブリッジ(全部被せもの)の作製には全く向いていませんが
総義歯作製には向いています

上顎を仮置きして模型の基底面を咬合平面に平行にトリミングします



それから数カ所刻みを入れてテープで覆い、分離材を薄く塗布します


咬合器を閉じても模型とあたらない事を確認して

寸法変化が最も少ない超硬石膏を注ぎます

気泡を入れないようにちょうど上まで注ぎます

注ぎ終わったら

完全硬化まで待ち

ひっくり返して今度は同じように下顎を装着します


反対側も超硬石膏を注いで咬合器装着終了

次回 人工歯排列へ続く

2013/02/25

今日のお花 Today's flower

こんにちは さいたま市なると歯科院長の小林成人です

今日のお花は黄色の薔薇

当院では少しだけでも治療中の緊張がほぐれるよう、できるだけ生花を

置くように心がけています

少しでも癒されますように




2013/02/23

ISCT西堀勉強会 Inter-disciplinary Study Club Tokyo

こんにちは さいたま市なると歯科院長の小林成人です

ISCT西堀勉強会に参加してきました

今回の担当はY先生のケースプレゼンテーション

中等度から重度慢性歯周炎と欠損歯がある患者さんに

歯周外科(OFD: open flap debridementと自家骨を用いたBG:bone graft)

と補綴で対応した症例でした

特に今回話題になったのが歯根近接部位に対するアプローチで

1 矯正してスペースを確保して印象やブラッシングをしやすくしようという考え

2 矯正しなくても単冠で仕上げてフロスで対応できるのではという考え

3 矯正しなくても形成を歯肉縁下やや深く形成してクラウンのカントゥアをアンダーにして何とか歯間ブラシが通るスペースを作る事で対応するという考え

などがディスカッションされました

共通する事はメンテナンスできない部位は積極的にメンテナンスしやすい形態に

術者がアプローチすべきだという考えでした

ありがとうございました





2013/02/21

総義歯ができるまで 〜自費レジン床総義歯作製工程〜No7


第7回 総義歯ができるまで 〜自費レジン床総義歯作製工程〜
咬合採得

次は咬合採得を患者さんの口の中で行います
上顎と下顎別々に模型ができました
歯を並べるときにどの程度出すか引っ込めるかの参考にしたり
この上下がどの位置でどの高さでかみ合うのかを記録する工程です

1  高さ
 2  前後 
3  左右
を考える必要があります

高さが高すぎると噛みにくかったり、発音しにくかったり、見た目が悪くなってしまいます
低すぎると噛みにくかったり、お年寄りっぽい見た目になってしまいます
適正な高さを判断する為に色々な方法を使って、決定していきます

前後に位置関係も大事です
以前使っていた入れ歯が合っていないと前咬みの癖が残っていて
前にずれた位置で記録してしまいやすいですが、中心位といわれる
本来最も噛みやすく、顎関節に負担のかからない位置で記録する必要があります
中心位で咬合採得できない歯科医師は、永遠に総義歯はうまくなりません
全ての工程で一番大事なのがこの咬合採得です

左右の位置関係も大事です
真ん中で記録するのですが、ここも旧義歯が左右にずれていると
変な癖が残っていて難しくなります



咬合床を使って上顎、下顎の
高さ、前後関係、左右の関係を中心位で記録しました
 中心位とは下顎顆頭が健全な関節円板を介して最前上方位に位置する下顎位です
この工程は他にも大事なポイントがたくさんあるのですが、今回は簡略化しています

続く

2013/02/20

今日のお花 today's flower

こんにちは さいたま市なると歯科院長の小林成人です

今回のお花はカーネーション

当院では少しでも治療中の緊張がほぐれるようできるだけ生花を置くようにしています





2013/02/18

総義歯ができるまで 〜自費レジン床総義歯作製工程〜No6


第6回 総義歯ができるまで 〜自費レジン床総義歯作製工程〜
下顎咬合床作製

同じように下顎も咬合床を作製します
アンダーカットをブロックアウトして
オストロンを圧接

完全硬化後外して


バリをトリミング
気泡がないかチェック

適合に問題がないかを確認して
鑞堤をワックスで作り

焼き付けます


さあこれで上下の咬合床が完成しました


次回へ続く

2013/02/15

総義歯ができるまで 〜自費レジン床総義歯作製工程〜No5


第5回 総義歯ができるまで 〜自費レジン床総義歯作製工程〜
上顎咬合床作製



作業模型が完成したらアンダーカット(ヘッコミ)をワックスで
ブロックアウトします
これしないとこれから圧接するレジンが取れなくなってしまいます
口蓋隆起もワックスで少し覆います


咬合床作製のため、オストロン(レジン)を圧接します
その際厚さはできるだけ均一に
気泡が入らないように
適合よく作ります
ここでずれてしまうと、この先の工程全てがずれてしまうので
細心の注意が必要です

硬化を待ってから外して
はみ出たバリを削ります

トリミング終了

かた付きがないかチェックして

鑞堤の作製に入ります
パラフィンワックスを火で軟化させ
形を整えながら

上顎の歯が並ぶ位置を想像して形を決めていきます

レジン部分としっかり焼き付けて一体化させます

ようやく上顎咬合床完成
綺麗にできました
まだまだ先は長いです

次回へ続く

2013/02/13

本日のお花 today's flower

こんにちは さいたま市なると歯科院長の小林成人です

今回のお花はスイトピーと水仙

当院では少しでも緊張がほぐれるよう診察室にできるだけ生花を置くようにしています




2013/02/09

ISCT西堀勉強会 Inter-disciplinary Study Club Tokyo

こんにちは さいたま市なると歯科院長の小林成人です

ISCT西堀勉強会に出席してきました

今回のケースプレゼンテーションはO先生

臼歯部が喪失したままだったため、前歯部がフレアアウト(出っ歯)になり

咬合崩壊を起こした患者さんの症例でした

臼歯部にインプラント11本埋入してバーチカルサポートを確立し

フレアした上顎前歯は矯正でリトラクションして引っ込め

クラウディングのあった下顎前歯部は叢生を改善していました

大変患者さんは喜ばれたそうです

歯周治療+インプラント+矯正+補綴という我々が最も得意とする

総合的な歯科治療でした

これを全て一人でできるドクターは少ないので、この勉強会のすごいところです

ありがとうございました




2013/02/06

総義歯ができるまで 〜自費レジン床総義歯作製工程〜No4

第4回 総義歯ができるまで 〜自費レジン床総義歯作製工程〜
下顎作業模型作製 咬合床作製 



下顎の印象も同じように石膏が漏れないように周囲をかこって
ボクシングをして、超硬石膏を注意深く注ぎます


完全硬化後にはがして

外して

トリミングをします
いい入れ歯の印象は舌側辺縁はS字状のカーブを描いています
これは嚥下時に顎舌骨筋が挙上するためにこうなります
まっすぐなままだと飲込むたびに浮き上がったり、痛くなったりします
前歯部口腔前庭は二瘤ラクダのように逆Mの字になります
これは縦に走行するオトガイ筋が動いたときに、引っかからないようにした為です
ここが長すぎるとウーと口をすぼめたときに入れ歯が浮いてしまいます
頬棚は頬筋が横に走行している為、多少長くしても大丈夫な部位ですので
辺縁は外斜線を超えます
下には厚い皮質骨がある事が多いので、メインの圧負担域です
という訳で、この模型の中に様々な種と仕掛けがつまっているのです
吸い付く入れ歯ができそうだなという事はこの時点である程度予測できます

続く