こんにちは さいたま市なると歯科院長の小林成人です
今回の質問は
どうして銀歯を作るのに1週間もかかるのですか?忙しいので早く入れて欲しいのですが
これも皆さん疑問に思っているようです
できるだけ早くできるよう努力しておりますが、銀歯は既製品ではありません
患者さんの歯によって全て形が違うので、技工士さんのフルオーダーメードとなっております
完全手作りですなのでそれなりに時間がかかります
患者さんからすれば1週間は長いと感じるかもしれませんが、
我々からしたらよく1週間で作れるものかと感心してしまいます
保険の銀の詰め物(インレー)の複雑な作製工程をみてみましょう
詰め物の形を彫刻して鋳型をつくり溶かした金属を流し込む鋳造法で作るのですが
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まずは虫歯の部分を削って |
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歯型をとります(気泡が入ってしまったらやり直し) |
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型を取ったらすぐに石膏を注ぐ |
(気泡が入ってしまったらやり直し)
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固まったらはずす |
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噛み合わせる反対側(この場合は下顎)の型も取る |
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元に戻るようにダウエルピンをたててから分割する
作業をしやすくする為に行います |
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これで取り外して細部まで作業することができます
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ワックス(ロウ)でワックスアップ(歯の形に彫刻)するその際、細かい解剖学的な溝や反対側の歯と咬みこむように細部を調整する
この段階ではまだロウなので柔らかい |
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できたらそっと取り外して、溶かした金属が流れる道を作るためスプルー線をたてる |
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鋳造リングの中央に来るように調整
端に偏ると変形の原因になる |
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鋳造リングの中に埋没材とともに埋没させる
水の量が多くても少なくても変形する為、粉液比は厳密に |
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硬化後、約700°の炉にいれてワックス部分のみ溶かし、鋳込むスペースを作る |
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真空鋳造機で金属を1000℃に熱して溶かし、鋳込む
(溶かす金属の温度が高いと気泡が入ってしまいやり直し、低いと細い部分まで入らずなめられてしまうのでやり直し) |
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冷えたら割り出して |
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必要な部分を切断 |
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形態修正 |
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研磨して |
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完成 |
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噛み合わせを調整後、患者さんに装着 |
ここまででプロでも1週間ほどかかります
普通の方がはじめてこの作業を行ったら1ヶ月かかって、
できるかどうかという工程でしょう
おそらく何回もやり直しになってしまいます
あなたならこの仕事いくらならやりますか?
ここまでやって技工士さんに入る純利益はなんと1000円いきません
のべ何時間作業したことでしょう
私も大学病院勤務時代はこの工程を全て自分で行っていました
午前午後と診療し、診療終了後に技工を始めて帰るのはほぼ毎日終電でした
この苦労はよくわかります
技工士さんは長時間労働、安月給で、あまり直接患者さんに感謝される事もなく、
日本の激安保険歯科治療を影で支えているのです
技工士さんの職離れは深刻で、このままでは将来、
日本から技工士さんがいなくなってしまうことでしょう
皆さんはこういった現状をどう思いますか?
政府には彼らの待遇を改善して頂くよう切に願います
(セラミックインレー編、オールセラミッククラウン編、義歯編はまた後日に)